白雪姫は寵愛されている
帰りに二人でスーパーに寄る。
そこでもやっぱり、持つのは朔也くん。

私は紙袋と小さな袋一つだけ。

重いのを持っているのは朔也くんなのに。
私に「重くない?」って聞いてくる。


…私の台詞なのに。


エレベーターのボタンを押してくれた朔也くんに、言われ端に寄る。どうやら別の階の人が入ってきたみたい。



「……うわっ、すげーブスじゃね?」



ビクッ!


エレベーターの中。私と朔也くん、それから二人の男性…大学生かも。


チラチラとこっちを見てくる。
小声で言っているんだろうけれど、ここに居るのは四人だけ。

小さな話し声でも聞こえてくるんだ。


私のことについて言ってる。
分かってる。これが普通の反応だって。

だから、八神先輩のあの言葉は間違ってる。


「白雪、おいで」


二人の男の人に背を向け、私の前に立つ朔也くん。


「さ、朔也くん。私は大丈夫だから、」

「違うよ。俺がこっちを見たいだけだから」

「…ふふ、じゃあそういう事にしておくね」


二人がいなくなってからチンッ!と音がした。


マンションの十階。セキュリティ対策が万全だからと朔也くんと引っ越してきたのは、私が高校生になる時だった。



< 23 / 253 >

この作品をシェア

pagetop