白雪姫は寵愛されている

お姫様



早起きの代償。
それは眠気。

二つ分のお弁当は、自信作。
中々凝った物になった。


会社の女の人に変な目で見られないと良いけど…なんて。


「朔也くん、お仕事頑張ってね」

「…白雪もね。約束のことも忘れないように、ね?」


にこやかに駅で朔也くんとお別れ。改札前でお見送り。

後は一人で歩いて学校へ向かう。
それがいつもの流れ。


いつもと変わらず────、なはずだった。



「朝早いな、千雪は」

「や…がみ、先輩…!?」



振り返って驚いた。昨日車を止めてくれ位置に、また黒い車が止まっていた。開いていた窓から欠伸する八神先輩がいる。

ど、どうしてここに…?


「お、おはようございます。…えっ、と…誰かを待っているんですか?」


朝早い時間。

こんな時間からお疲れ様です。
きっと時間にシビアな方なんですね。



「千雪を待ってた」

「そうなんです………え??」



吃驚。

突然の私名前に反応が一瞬遅れてしまった。そのせいで最初、流れに沿う形で肯定してしまった。


「え、っと…?あの、」


追いつかない思考。
そんな私を置いて、車を降りる八神先輩。

ドアを開け、どうやら私を待ってるみたい。


「あ、あの…私、いつも歩いて向かうので…!」

「知ってる」

「えっ、?」


私そんな事言ってませんでしたよね?


「え、と。あの…失礼しま、」

「乗らないなら抱えて乗せるが?」

「……の、のります…」


半強制的に乗せられる羽目になってしまった。
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