白雪姫は寵愛されている
走り出す車。
隣にいるのは眠そうな八神先輩。
…ど、どうして。
凝視しぎたのかも知れない。
先輩が私の視線に気付き口を開く。
「どうした?」
「あの…どうして私…」
「昨日迎えに行くって言ったろ」
い…言ってましたけど。
そ…それって、帰りの話ですよね…?
思い返してみる。────帰りに、なんて言ってない。
そ、それはつまり…帰りは行かなくていいって事ですか?
それなら、本も借りれます。
…良かった。ちょっと不安だったから。
隣では二度目の欠伸。
「……あの…何時から待っていたんですか?」
昨日、時間を聞かれていなかった。
それなのに、ここにいたって事は…。
もしかして一時間ぐらい待っていたのかも知れない。
「…四時半」
「よ、よじ…!?」
予想以上に早い時間帯に吃驚した。
その時間なら…私はまだ寝ていました。
起きたのは五時半。そこからお弁当を作り、大体一時間ぐらい。準備などを終えて出てきたのは十五分ぐらい前の事。
約三時間。
ずっと待っていた事になる。
そんな早い時間から待っていたんですか?運転手さんも一緒に…?
バッグミラーに薄っすらと見えるサングラスを付けた男性。眠そうに何度も小さく欠伸してるのが見えた。
…でももし体調が悪くて休みだったら。
知らないままずっと待っていたのだろうか?
「れ、れんらくをくれれば…」
「知らないからな」
…あ、そうですね。
そういえば知りません。
教えてませんし…。
八神先輩はポケットからスマホを取り出し手を出した。