白雪姫は寵愛されている

えっと…?


スマホは左手。
手を出す右手。


意図が分からず、その手に恐る恐る手を乗せた。
先輩は吃驚して目を見開き、握り返してくる。

眠いのだろうか?かなり暖かい。


「携帯」

「え?…あっ!」



この手はそういう…。



顔が熱い。
まさかその為の手だとは思わなかった。



「ご、ごめんなさい…」


「俺も言うべきだった。悪いな」



口調が昨日より優しい気がする。

何も話さないでいると、先輩が心配そうな顔をした。



「…悪い、まだ怖いか?」



慌てた様子の八神先輩。


…こ、わい?えっと。



「す、すこし…だけ…、」



恐る恐る本当の事を言ってみる。



「チッ、練習の意味がねーな…」



舌打ちにビクッと身体を揺らす。


……れ、んしゅう?

なんの練習だろう?
もしかして…喧嘩、とかですか…?


そ、それは…す、すごい、ですね…。

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