白雪姫は寵愛されている


「冗談は辞めて下さい!そんな嘘を言われても全然嬉しくありません!」


自分が一番分かっている。
さっきの人達もそう言っていたもの。


「冗談で言う訳ないだろ」


と、言う八神先輩にムカッと来てしまった。


いつまでその茶番を続けているんでしょう。
かわいい、なんて私には無関係な言葉。


いつもなら自分で上げる事なんて絶対無い。自分から、なんて有り得ない。それなのに、何故か今。この時だけは違っていて。



「こ、これを見てもそんな事言えるんですか!」



───────自ら前髪を上げてしまった。



「「「っっ…」」」



三人は顔を真っ赤にして逸らした。



や、やっぱり…!


「私の顔見れないじゃないですか!」


見れないぐらい最悪ってことですよね!?そんな事を言われて、全ての女性が喜ぶとは思わないでください!


叫ぶと焦った様子の三人。


慌てて私の方を向く。
だけど、顔は赤いままだ。


「ち、ちがう!千雪!」

「誤解、だって!千雪ちゃん!」

「い、いやいや!白藤違うって!」


同時に喋っていて聞き取れなかった。あまりにも綺麗にハモってしまうから。凄く慌ててしまっているから。

八神先輩が私の手を取る。


「…っ、千雪が綺麗過ぎて、直視出来ないんだよ」


顔を逸らす先輩の顔は真っ赤で、いつもより早い鼓動に戸惑いながら私も釣られて顔が赤くなった。


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