白雪姫は寵愛されている
見つけ…?
「きゃぁ!?」
突然体が浮いた。
先輩が私を抱えたのだ。
足が付かない。
先輩の顔が、身体が…近い。
その状態のまま、落ちたバッグを拾うと私に渡してくれた。…が、当の本人は理解が追い付かず、目の前がぐるぐるした。反射で受け取ったバッグを抱え込む。
どうしてこうなったのか。
どうしてお姫様抱っこされるのか。
全く持って不明。
そんな私に構わず、歩き出す先輩。
もっと分からず上手く聞き出す事が出来ない。
暫くして出たのは、誰も通らないような影から、帰り足の生徒が歩く校庭へ。
「「「「きゃあああああぁあ!!?」」」」
女生徒の声が響いた。
黄色い声援と妬む声。
「何、あの女?」
「誰よ。あの子」
ぼそぼそと聞こえてくるのは、私に対しての疑問。
「ブスが…弁えなさいよね」
そして──────、悪口。
「………っ、」
敵視…私が嫌いな、怖くてたまらない視線。
顔が見えないようにスクールバッグで隠す。
「お……降ろし、てください…お願いします…!」
耐えられず、叫ぶ。
「黙ってないと、舌噛むぞ」
「!?」
吃驚して口を塞ぐと、先輩はクスっと笑った。