白雪姫は寵愛されている



「あ、あの…!」



歩き出した八神先輩の制服を掴む。
釣られるように難波先輩も止まった。



「い、頂けません」



こんな高い物を頂くなんて。それに私には荷が重いです。


先輩の手が私の頭に乗った。
思わずドキッと反応してしまう。



「飴のお礼だ」


「っっ……、」



飴何個分のお礼ですか…それじゃあ、割に合わないじゃないですか。


優しく撫でて少し微笑む。



「帰り、また来る」



断らなくては。
そう…思っているのに。



「…っ…は、い」



どうして返事をしてしまうんだろう。
どうして胸が高まるんだろう────。



「「「きゃあああ!」」」



ビクッ!


突然の叫び声。ハートマークたっぷりの声に吃驚した。


私だけじゃなかったみたい。
周りの女子も胸が高鳴ったようだ。


クラスの女子、廊下にいた女子が一斉に黄色い声を出した。

甲高い声に吃驚して、さっきよりもきつく握ると先輩たちと颯太くんが笑った。


「ほんと、千雪ちゃんは怖がりだな」

「しらーふじ!大丈夫だって!俺がいるから」

「千雪、すぐ行く。だから待ってろ」


優しい口調、優しい手。

赤くなった顔を隠すように、俯き気味に頷いた。


< 52 / 96 >

この作品をシェア

pagetop