白雪姫は寵愛されている
「あ、あの…!」
歩き出した八神先輩の制服を掴む。
釣られるように難波先輩も止まった。
「い、頂けません」
こんな高い物を頂くなんて。それに私には荷が重いです。
先輩の手が私の頭に乗った。
思わずドキッと反応してしまう。
「飴のお礼だ」
「っっ……、」
飴何個分のお礼ですか…それじゃあ、割に合わないじゃないですか。
優しく撫でて少し微笑む。
「帰り、また来る」
断らなくては。
そう…思っているのに。
「…っ…は、い」
どうして返事をしてしまうんだろう。
どうして胸が高まるんだろう────。
「「「きゃあああ!」」」
ビクッ!
突然の叫び声。ハートマークたっぷりの声に吃驚した。
私だけじゃなかったみたい。
周りの女子も胸が高鳴ったようだ。
クラスの女子、廊下にいた女子が一斉に黄色い声を出した。
甲高い声に吃驚して、さっきよりもきつく握ると先輩たちと颯太くんが笑った。
「ほんと、千雪ちゃんは怖がりだな」
「しらーふじ!大丈夫だって!俺がいるから」
「千雪、すぐ行く。だから待ってろ」
優しい口調、優しい手。
赤くなった顔を隠すように、俯き気味に頷いた。