白雪姫は寵愛されている



倉庫に着くと、また先輩の後を付いて行く。
一人にされないように裾を掴んで。


でも…今日は昨日とは、何か違う気がするのは気のせい?



「どうした?」



昨日は八神先輩を見てすぐに挨拶してたのに…今日はそれがない。一人一人頭を下げて小さな声で言ってる。それに私にも笑顔で挨拶してくれている。

視線も…何というか。その、優しいと言うか…暖かい(?)ような気がします。



「あの…、どうして私にも…」



言ってくれるんですか?
私は…その、部外者…ですし。


ただ昨日の大きな声よりも吃驚しないので、私にとってはとても有難いですが…。


「あ、ああ。色々あってな」


「色々、ですか?」



不思議だったけど。八神先輩はそれ以上は話してくれなかった。

耳が少し赤いような気がしたけれど…気のせい、かな?


ドアを開けると既に難波先輩がいた。ソファに寝そべり、顔には雑誌が置いてあった。


机の上には昨日見たあの漫画本が積み重なっている。多分、寝る前に用意してくれたんだと思う。



それと、見覚えのない人がいた。


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