白雪姫は寵愛されている
紺色の髪に銀色の眼鏡を掛け、タバコを咥える男の人。
制服は────…、
「え…!」
驚いた。何故なら私立華月学園の制服だったから。
青蘭学園の兄弟校、華月学園。
相当頭が良くなければ入れない名門校。
お金でなんとかなる青蘭学園とは全く違う。「兄弟校なんてよく言える」なんて言われてしまうほどの偏差値差がある高校だった。
どうしてここまで知っているのか。
それは朔也くんに勧められた学校だったから。
これ以上朔也くんにお金の負担を掛けたくなくて、特待生として入学する必要があった。朔也くんは気にするなって言ってくれたけど、私はどうしてもそうしたくて必死に勉強した。
それでも、A~B判定を行き来してしまい、どうしても特待生枠には届かなかった。だから青蘭学園にするしかなかったのだ。
入学するだけでも大変なのに────。
それよりも凄い光景に私は目を丸くした。
兄弟校である青蘭学園と華月学園の制服は瓜二つ。
違うのは紺色のブレザーに金色の刺繍とホオズキの校章。
そしてもう一つ。
”金色のボタンが付いた白いチョッキ”。
全校生徒から選ばれる成績優秀者10名のみが、着用することが出来るチョッキで滅多に着られない、見られないもの。────それを、彼は着用していたのだ。