白雪姫は寵愛されている



「ん…?何してんだ?」


難波先輩が起き上がる。


「んあ?昴、いたのか」


大きな欠伸をする先輩に久我さんは睨む。


「慶もどうかしたんですか?あんなのをここに連れてきて」


視線の先に居るのは、私。

”あんなの”、
久我さんには私はそう見えてるらしい。



「…千雪ちゃんに何かしたのか?」



泣いてる私に気づいた難波先輩が睨み返した。



「仁も慶も、颯太も随分あれを特別視してるみたいですね。僕にはさっぱり意味が分かりません」


「…千雪ちゃんは別だ。仁が、俺等の総長がそう言った」


「意味が分からない…僕からすれば女は全員同じです。外見だけしか興味がない奴等です」


「千雪ちゃんは違う。むしろ逃げようとしたぐらいだ…他のとはちげーよ」



ほか…?
他の方はこんな事では泣かないんだ。


「千雪、悪い。泣かせるつもりはなかった」

「しらふじ!泣くな~!俺がついてるからぁぁ!」

「ご、ごめんなさい…」


二人を困らせてしまった。こんな私だから…足手纏いと言われてしまうんですね。

久我さんが私の事を嫌うのだって、私がこんなだから。何の役に立たない…私だから─────…。


久我さんは舌打ちをすると、私達の横を通り過ぎドアを開けた。



「…僕には話しかけないでくださいね。不愉快なので」



ビクッ、



「昴、」


「仁。僕は認める気は更々ありませんから」



それだけ言うと、出て行った。



< 59 / 147 >

この作品をシェア

pagetop