白雪姫は寵愛されている
「ん…?何してんだ?」
難波先輩が起き上がる。
「んあ?昴、いたのか」
大きな欠伸をする先輩に久我さんは睨む。
「慶もどうかしたんですか?あんなのをここに連れてきて」
視線の先に居るのは、私。
”あんなの”、
久我さんには私はそう見えてるらしい。
「…千雪ちゃんに何かしたのか?」
泣いてる私に気づいた難波先輩が睨み返した。
「仁も慶も、颯太も随分あれを特別視してるみたいですね。僕にはさっぱり意味が分かりません」
「…千雪ちゃんは別だ。仁が、俺等の総長がそう言った」
「意味が分からない…僕からすれば女は全員同じです。外見だけしか興味がない奴等です」
「千雪ちゃんは違う。むしろ逃げようとしたぐらいだ…他のとはちげーよ」
ほか…?
他の方はこんな事では泣かないんだ。
「千雪、悪い。泣かせるつもりはなかった」
「しらふじ!泣くな~!俺がついてるからぁぁ!」
「ご、ごめんなさい…」
二人を困らせてしまった。こんな私だから…足手纏いと言われてしまうんですね。
久我さんが私の事を嫌うのだって、私がこんなだから。何の役に立たない…私だから─────…。
久我さんは舌打ちをすると、私達の横を通り過ぎドアを開けた。
「…僕には話しかけないでくださいね。不愉快なので」
ビクッ、
「昴、」
「仁。僕は認める気は更々ありませんから」
それだけ言うと、出て行った。