白雪姫は寵愛されている
名前
「落ち着きましたか?」
取ってくれた本を片手に、先輩に連れて来られたのは図書館の目の前の噴水。そこのベンチに座るとココアを買ってきてくれた。
「あ…す、すみません。お金…、」
「これぐらい良いですよ」
先輩の手には缶コーヒーのブラック。
私から距離を置いて隣に座った。
「先程は…すみませんでした。軽率に色々と」
「そんな、私の方こそ…す、みません…」
──────沈黙、
お互い何も話さずそのまま。
何か…話しかけた方がいいのかな。
でも何を話すべきなのか…分かりません。
悩む私と、視線を噴水に向けたままの先輩。
暫くして、
「…僕は女性が嫌いです」
先に口を開いたのは先輩だった。