白雪姫は寵愛されている
や…やだやだ!見たい!読みたいです!
涙目で首を振る。
「…千雪、」
肩に乗るのは仁くんの顔。
「もう、破るつもりか?」
「だって…あの…、」
見たいんです。本当に…続きが気になるんです…!
「あの…ほ、他の事で許して下さ…」
「嫌です。妥協は許しません」
「ふぁ……、」
そんな…それじゃあ、一週間も我慢しないといけないんですか…?
む、無理です…!そんなの私には耐えそうにありません!
「じ、仁くん…」
「…そんな顔しても駄目だ」
「ど、どうしても見たいんです…!」
「……駄目だ」
どうしても、いい答えを貰えないみたい。
どうしよう、どうしよう。見たい…見たいよ!でも駄目だって言われてるし…どうしたら……。
悩んで悩んで思い付く。
「あ、あとで…本を読み終わったら、仁くんの言う事聞きます!えっと、膝枕…とかしますか?」
その言葉に仁くんの顔は赤くなる。
「…っ、ちゆ、」
その言葉を遮ったのは笑顔の昴くんだった。
「はは、仁もするんですか?僕のあと、に?」
「………………駄目だ」
凄く間が空いて、舌打ち後にそう言った。とても怒ってるように見えるけれど、その相手は私じゃないみたい。
「そ…そんな…」
項垂れた私に昴くんは笑う。
私の手を握ろうとする昴くんを払いのけ、私を抱き寄せる仁くん。
「じ、じんく…」
「触るな」
睨む仁くんと笑っている昴くん。
「仁、許してあげてくださいよ。醜い嫉妬ですよ?」
「…千雪は俺のものだ」
「それは初耳でした。でも、実際はそうではないでしょう?」
「…昨日まで嫌ってたやつが何言ってんだ」
「そうですね。昨日までは、嫌いでしたよ。でも、今日からは違いますから」
そう言って私の手を取った。
不意打ちの事過ぎて仁くんも反応できていない。
そして、
───────ちゅ、
まるで仁くんに見せつけるように手の甲にキスをした。
「仁、敵がいないと思わないでくださいね?」
不敵に笑った。