白雪姫は寵愛されている
目尻に溜まる涙。
自然と出てきたみたい。
「フッ…泣くな。悪いことしてる気分になるだろ」
「してるじゃないですかぁ…!」
仁くんは笑う。
離せばいいんだろ、と言って手を離してくれた。
顔が熱い。
身体中が熱い。
イケメンな人に対しての耐性が全くありません。あるのは朔也くんにだけで。仁くんに対しての耐性なんかじゃない。だからきっとこんなにドキドキしてるんだ。
「まだ残ってる、食べれるな?」
「も、もう無理です…」
そのフォークは、さっき仁くんが使ったもの。さっきのは…仕方ないとして。流石にもう無理です。
その時に気が付いた。
隠れるようにあったビニールに入ったプラスチックのフォークに。どうやら二個付いていたらしい。
そ、そうですよね!
私と仁くんの二人ですし!
二つ入っていますよね…!
未開封のフォークに手を伸ばした。…が。あと少し、という所でフォークが無くなった。
仁くんが先に取ってくれたから。
じ、仁くんも気が付いたんですね!
良かったと安堵し、開けてくれるのを待ち続ける。─────なんて考えてたというのに。