白雪姫は寵愛されている

我慢



朱雀の方々と出会って約1か月が経った。



「白藤さん、お疲れ様です」



最初は怖かった白髪の不良さんの碇 美琴(イカリ ミコト)さん。綺麗な名前をしているけど、性別は男性の方。



「美琴さんもお疲れ様です」



そう言ってお辞儀すると、美琴さんも釣られてお辞儀。

苗字で呼ばれるのが好きじゃないからと言う事で、名前で呼ばせてもらっている。去年青蘭学園を卒業したらしく、私達の年上だ。


「今日は何処かに行かれるのですか?」


最初の方では考えられないぐらい、普通に話せるようになってきた。…それもつい最近の事だけど。


「あー、はい。ゴミ拾いに行くところです。今日は俺の担当なんで」


大きなゴミ袋と軍手、トングを持つ美琴さんは、それだけ言って会釈をして出て行った。


今では慣れた事だけど。
…凄く吃驚したなぁ。


喧嘩ばかりの野蛮なイメージだった”朱雀”。

でも本当は喧嘩ばかりでは無くて、動かざるを得ない時だけ。

そう昴くんが教えてくれたのは、初めて一緒にごみ拾いをした日。


困っている人を見つけたら手を貸すし、助ける事もするのが朱雀で、そんなルールを作ったのは仁くんが初めてらしい。


……やっぱり仁くんは凄い人です。



< 97 / 136 >

この作品をシェア

pagetop