白雪姫は寵愛されている
昴くんの腕を力強く握っている。
「千雪さん、大丈夫ですよ。僕が、守りますから」
そう言って、抱き寄せる。
い、いま…どうして僕だけを強調するような言い方を…。
「昴…千雪に触るなって言ったよな」
「ぴぇ…」
間から見えるのは怒っている仁くん。
お…怒ってます…!
怒ってるので離してください…!
………えっ?
ぐっと押したつもりだった。
けれど、ビクともしない。
もう一度押してみる。
動かない。
「千雪さんは仁が怖いから離れたくないそうです」
ち…ちがいます!逆です!
怖いからこそ離れたいのですが…!
「あ゛?…俺が怖い?」
「千雪さん、僕の方が怖くないですよね?」
「んぶっ!」
胸板に押し付けられていて、話せない。
「そうですよね。僕の方がいいですよね」
ひ、一言も発せられていませんが!
これがまた仁くんのお怒りゲージを高めていく。
「…千雪、昴から離れろ」
ひぇ…、
さっきよりも怖くなってます。
「千雪さん大丈夫ですよ。僕がいますから」
す、すばるくん!
仁くんが怖いので離れた方が…!
「昴、離れろ」
仁くんの手が昴くんの肩に乗った。かなり強い力で掴んでるのだろう、握る音がする。
「っ…仁、それ以上されると折れますよ」
「ああ、知ってる」
お、折れ…?
肩の骨が折れる…?
想像したら血の気が引いた。