虐げられた令嬢は貴公子の夢を見る ~気がついたら幸せな結婚が決まっていました~
「夜会への招待があったわ。正直、行くのが怖い」
「でも、君はそれに行くべきだよ。絶対にいいことがあるから」

 彼は花園の中の大きな白いブランコにセレスティーンを誘った。ふたりで腰掛けると、それはゆらゆらと優しく揺れた。

「いいことって、なに?」
「行ったらわかるよ」
 彼は微笑を浮かべて答える。

「だけど、夜会だとダンスを踊らないといけないかもしれないわ。ダンスなんてやったことないのに」
「俺と何度も踊ってるじゃないか」

「夢と現実は違うわ」
「心配なら今夜も踊ろう。練習だよ」

 彼はそう言って彼女を開けた芝生の上に連れ出し、腰に手を当てて片手を握って高く掲げる。

 そうするとどこからか楽の音が響き始めた。
 軽やかな音楽に合わせ、彼のリードでセレスティーンは楽しくダンスを踊り続けた。





 目覚めたセレスティーンは体のあちこちが痛いことに驚いた。
 夢の中で彼と踊っていたが、まるで本当にダンスをしていたかのような疲労感が全身にあった。
「いたた……でも楽しい夢だった」
 起き出して、ワゴンの朝食をいただく。
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