虐げられた令嬢は貴公子の夢を見る ~気がついたら幸せな結婚が決まっていました~
「なんで、ドレスが!?」
ティアリスもまた驚いていた。
ドレス? と思って自分を見て、セレスティーンも驚いた。
ぼろ布寸前だったドレスを着ていたはずなのに、今の自分が着ているのは瀟洒なラベンダー色のドレスだった。銀糸の刺繍が華やかで、上品なレースが袖口にたっぷりと使われ、裾は可憐にふんわりと広がっている。
髪は結い上げられ、薄紫の小花が飾られた。イヤリングは彼の目のような黄水晶で、ネックレスもまた大きな黄水晶にメレダイヤをあしらったものだった。
夢の中と同じだ。彼はいつもこうして自分に素敵なドレスを着せてくれる。
「このドレスもいいな」
満足げに彼は言い、左手を横に広げ、右手を胸の前に添えてお辞儀をした。
「お嬢様、一曲お願いできますか?」
「……はい」
思わず頷いていた。
彼は嬉しそうにセレスティーンの手を引いてフロアに向かう。
「昨日練習したから、大丈夫だよね?」
いたずらっぽく笑う彼に、セレスティーンはやっぱり、と思う。
「まさか本当に会えるなんて」
「信じてなかったんだ?」
「だって、夢だと思ってたんだもの。それともこれが夢かしら」
「夢じゃないよ」
彼に手を握られ、セレスティーンは夢見心地で握り返した。
ティアリスもまた驚いていた。
ドレス? と思って自分を見て、セレスティーンも驚いた。
ぼろ布寸前だったドレスを着ていたはずなのに、今の自分が着ているのは瀟洒なラベンダー色のドレスだった。銀糸の刺繍が華やかで、上品なレースが袖口にたっぷりと使われ、裾は可憐にふんわりと広がっている。
髪は結い上げられ、薄紫の小花が飾られた。イヤリングは彼の目のような黄水晶で、ネックレスもまた大きな黄水晶にメレダイヤをあしらったものだった。
夢の中と同じだ。彼はいつもこうして自分に素敵なドレスを着せてくれる。
「このドレスもいいな」
満足げに彼は言い、左手を横に広げ、右手を胸の前に添えてお辞儀をした。
「お嬢様、一曲お願いできますか?」
「……はい」
思わず頷いていた。
彼は嬉しそうにセレスティーンの手を引いてフロアに向かう。
「昨日練習したから、大丈夫だよね?」
いたずらっぽく笑う彼に、セレスティーンはやっぱり、と思う。
「まさか本当に会えるなんて」
「信じてなかったんだ?」
「だって、夢だと思ってたんだもの。それともこれが夢かしら」
「夢じゃないよ」
彼に手を握られ、セレスティーンは夢見心地で握り返した。