虐げられた令嬢は貴公子の夢を見る ~気がついたら幸せな結婚が決まっていました~
「この女のドレスも用意しなくちゃいけないってこと?」
「お金の無駄遣いよねえ」
エマニーズとティアリスが文句を言い合う。
「一晩くらい貸してやればいいだろ」
「嫌よ、どれもお気に入りなの。こいつに貸したら穢れるわ」
「買いに行くしかないわね」
エマニーズがため息交じりに言う。
セレスティーンは目を見開いた。
それはつまり、自分も買い物に連れて行ってもらえるということだろうか。
そのことには触れないまま、マルセルムは続ける。
「ちょうど殿下が留学から帰って来るそうだ」
「殿下が!? 御歳十八歳、まだ婚約者がいらっしゃらないのよね!?」
ティアリスが目を輝かせる。
「そうよ。魔族の住む異界でアシュディウム魔術皇国に魔術の留学に行ってらしたのよ。魔族が跋扈する恐ろしい国なのに、なんて勇敢なのかしら」
エマニーズの説明に、ティアリスはさらに目を輝かせた。
百年前にサンレード王国の国王が魔術皇国アシュディウムの皇帝と和平を結び、それ以来、年に一度の扉が開く日には魔族の国から使いが来て和平条約を結び直す。
和平が結ばれたのちには、正式に魔術留学が行われるようになった。
「お金の無駄遣いよねえ」
エマニーズとティアリスが文句を言い合う。
「一晩くらい貸してやればいいだろ」
「嫌よ、どれもお気に入りなの。こいつに貸したら穢れるわ」
「買いに行くしかないわね」
エマニーズがため息交じりに言う。
セレスティーンは目を見開いた。
それはつまり、自分も買い物に連れて行ってもらえるということだろうか。
そのことには触れないまま、マルセルムは続ける。
「ちょうど殿下が留学から帰って来るそうだ」
「殿下が!? 御歳十八歳、まだ婚約者がいらっしゃらないのよね!?」
ティアリスが目を輝かせる。
「そうよ。魔族の住む異界でアシュディウム魔術皇国に魔術の留学に行ってらしたのよ。魔族が跋扈する恐ろしい国なのに、なんて勇敢なのかしら」
エマニーズの説明に、ティアリスはさらに目を輝かせた。
百年前にサンレード王国の国王が魔術皇国アシュディウムの皇帝と和平を結び、それ以来、年に一度の扉が開く日には魔族の国から使いが来て和平条約を結び直す。
和平が結ばれたのちには、正式に魔術留学が行われるようになった。