喜劇・魔切の渡し

天使と悪魔の約束

天使「ありがとうございますだ。為子さんと和子さん。気合が入りましただ。よーしっと……♬花の天国 落ち目の地獄~♬」
悪魔「チョイ、チョイ。なんだとお~?」
天使「♬雪も桜と なりて舞う~♬
悪魔「くそぉ。ちきしょう。ハア、ヤッショオ……おい、良夫」
良夫「も、もう、こうなったらやけだ。(悪魔を促すように)はいっ……」
悪魔、良夫「ヤッショオマカショ、シャンシャンシャン」
天使「良夫さん、そうやけにならんと。最後はカバーしますけん。はい、ラスト。♬揃た揃たあよぉ、為子と和子~」
悪魔、良夫「チョイ、チョイ」
天使「♬これがあ、おいらぁの宝物~♬」
悪魔、良夫、為子、和子「ハア ヤッショオ マカショ! シャン シャン シャン」
天使「ありがとうございましただ。皆さん。んで、良夫さん……」
良夫「は、はい」
天使「おらは、ハア、いまの歌通りに必ず、ご一家をお守りしますけん。お約束致しますだ。大事な宝物の為子さんと和子さん……特に和子さんをば決してこのやろ、悪魔の自由にはさせません」
良夫「そ、そうですか。なんだか知らないけど、あ、ありがとうございます」
悪魔「なんだとお?かっぺ。和子は俺のものよ。さっきそう云っただろ。おい、良夫……あ、いやさ、良夫お父さん。おめえの娘は俺がよろしく導くからよ、心配するな。この俺様がおめえの義理の息子になってだな、きっと幸せにしてやっから。な?」
良夫「は、はい」
悪魔「いいか、俺の配下になってみろ。ああ?そしたらな、金も地位も思うがままなんだぞ。分かる?だからこんなケチ臭い天使の云う事なんぞ……一切聞くな!」
良夫「は、はい!」
為子「なんですってえ?金も地位も思うがままですってえ……?それは耳寄りな話だわねえ。だったら私、和子をあなたに嫁がせるわよ」
pagetop