愛したがりの若頭と売られた私
売られた私
家は嫌いだ。
一歳の時に両親に引き取られた、茉咲。
素直で、可愛らしい容姿をした茉咲は、両親に愛され大切に育てられていた。
しかし……それは、茉咲が小学校に上る前までのこと。
出来ないと思われていた子どもを母親が妊娠してから、事態が一変したのだ。
養子の茉咲への扱いが酷くなり、あっという間に居場所がなくなった。
(世間体を気にしてか“高校までは行かせてくれただけでもいい”と思わないと)
そう自分に言い聞かせながら、今はバイトを頑張り、金が貯まったら家を出ていこうと考えている。
そんな矢先の、バイト帰りの夜。
「ただいま…」
自宅に帰ると、母親から茉咲のキャリーケースを押し付けられた。
「え?」
「今すぐに、これを持ってここに行きなさい!」
そう言って、メモ紙を渡される。
“○○ロイヤルグランドホテル
1207号室”
と書かれていた。
「お母さん、これ…」
「行けばわかるわ」
結局……追い出される形で茉咲は、指定されたホテルに向かった。
電車に揺られホテル前に着くと、ドアマンが微笑み声をかけてきた。
「いらっしゃいませ!
ご宿泊のお客様ですか?」
「あ…いえ…
こちらの部屋に行くように言われて……」
ドアマンにメモ紙を見せると、少し驚いたように言われる。
「さようでございますか。
では、ご案内致します」
そして、インカムで「PREMIUM SUITEの江戸川様にお客様です。案内をお願いします」と言った。
すると今度は、ベルボーイが微笑み近づいてきて、さりげなくキャリーケースを取った。
「稲元様(茉咲の苗字)ですね!
お待ちしておりました!
私が、ご案内致します!」
そう言って、エレベーターに誘導された。
最上階に上がり、エレベーターを出る。
するとセキュリティゲートがあり、ベルボーイがカードキーで解錠する。
そして更に奥に行くと、高そうなドアが見ててきた。
“PREMIUM SUITE”と書かれたドア。
ベルを鳴らすと、黒服の怖そうな男がドアを開けた。
「はい」
「失礼致します。
稲元様が来られましたので、お連れしました!」
ベルボーイが丁寧に頭を下げると、男は「あぁ、待ってくれ」と言い、一度ドアを閉めた。
またすぐ出てきて「どうぞ」と言われた。
「荷物は俺が…」
そう言って、ベルボーイから茉咲のキャリーケースを受け取る。
男に続いて、部屋の奥に入った。
すると……
「若、連れてきました!」
同じく黒服の怖そうな男達に囲まれた、一際恐ろしい男性が書類のようなものを見ていた。
(怖いけど、綺麗な人…/////
でも、どっかで見たことある…よう…な…)
茉咲はその男性を見て、そんな事を考える。
「あぁ、向こうに座っててもらえ」
こちらを見ることなく、言った男性。
「はい。
霧間さん、こちらです」
そして茉咲は、少し離れたソファに促され腰掛けた。
一歳の時に両親に引き取られた、茉咲。
素直で、可愛らしい容姿をした茉咲は、両親に愛され大切に育てられていた。
しかし……それは、茉咲が小学校に上る前までのこと。
出来ないと思われていた子どもを母親が妊娠してから、事態が一変したのだ。
養子の茉咲への扱いが酷くなり、あっという間に居場所がなくなった。
(世間体を気にしてか“高校までは行かせてくれただけでもいい”と思わないと)
そう自分に言い聞かせながら、今はバイトを頑張り、金が貯まったら家を出ていこうと考えている。
そんな矢先の、バイト帰りの夜。
「ただいま…」
自宅に帰ると、母親から茉咲のキャリーケースを押し付けられた。
「え?」
「今すぐに、これを持ってここに行きなさい!」
そう言って、メモ紙を渡される。
“○○ロイヤルグランドホテル
1207号室”
と書かれていた。
「お母さん、これ…」
「行けばわかるわ」
結局……追い出される形で茉咲は、指定されたホテルに向かった。
電車に揺られホテル前に着くと、ドアマンが微笑み声をかけてきた。
「いらっしゃいませ!
ご宿泊のお客様ですか?」
「あ…いえ…
こちらの部屋に行くように言われて……」
ドアマンにメモ紙を見せると、少し驚いたように言われる。
「さようでございますか。
では、ご案内致します」
そして、インカムで「PREMIUM SUITEの江戸川様にお客様です。案内をお願いします」と言った。
すると今度は、ベルボーイが微笑み近づいてきて、さりげなくキャリーケースを取った。
「稲元様(茉咲の苗字)ですね!
お待ちしておりました!
私が、ご案内致します!」
そう言って、エレベーターに誘導された。
最上階に上がり、エレベーターを出る。
するとセキュリティゲートがあり、ベルボーイがカードキーで解錠する。
そして更に奥に行くと、高そうなドアが見ててきた。
“PREMIUM SUITE”と書かれたドア。
ベルを鳴らすと、黒服の怖そうな男がドアを開けた。
「はい」
「失礼致します。
稲元様が来られましたので、お連れしました!」
ベルボーイが丁寧に頭を下げると、男は「あぁ、待ってくれ」と言い、一度ドアを閉めた。
またすぐ出てきて「どうぞ」と言われた。
「荷物は俺が…」
そう言って、ベルボーイから茉咲のキャリーケースを受け取る。
男に続いて、部屋の奥に入った。
すると……
「若、連れてきました!」
同じく黒服の怖そうな男達に囲まれた、一際恐ろしい男性が書類のようなものを見ていた。
(怖いけど、綺麗な人…/////
でも、どっかで見たことある…よう…な…)
茉咲はその男性を見て、そんな事を考える。
「あぁ、向こうに座っててもらえ」
こちらを見ることなく、言った男性。
「はい。
霧間さん、こちらです」
そして茉咲は、少し離れたソファに促され腰掛けた。
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