愛したがりの若頭と売られた私
「いえ…幸せだなって、噛みしめてました…(笑)」 

「フフ…!そっか!
僕も、幸せだよ!
やっと茉咲を手に入れたからね!
――――――今日から、沢山愛してあげる!
今までの辛い過去なんか、忘れてしまう位に…………」

夜凪の顔が近づき、茉咲は自然と目を瞑った。
そして二人の口唇が重なった。


「――――あ!そうだ!茉咲、これ!」

思い出したように言って、スマホを渡してきた夜凪。
夜凪と色違いのスマホケースがつけられていた。

「え?」

「今日から、このスマホを使って?
とりあえず、僕と池治の番号は入ってるから。
今持ってる茉咲のスマホは解約しに行こうね!」

「え……
…………あ、はい、わかりました」

「後は、必要ないよね?」

「あ、でも、あの…
バイト先の番号……」

「あー!そうか。
…………バイト、まだ続けるの?」

「え?あ…で、出来れば…」

「そう…」

「で、でも!
出勤日数は、減してもらうと思ってます。
主婦をきちんとしないとなので」

「そっか!
うん、そうして?
できる限り、家にいて?」


それから夕食を準備する、茉咲。
夜凪はカウンター越しに、茉咲の調理を眺めていた。

「夜凪さん、は、恥ずかしいです//////
ソファに座っててもらえますか?」

「え?ダメかな?
調理する茉咲が可愛くて、見てたいんだけどな…!」

「緊張しちゃって…」

「そう?
でも、可愛い茉咲を見てたいな!
ね?お願い!」

「わ、わかりました」

緊張しながら、調理していると……
夜凪のスマホの着信音が鳴り響いた。

カウンターから離れ、ローテーブルに置かれたスマホを確認する夜凪。

茉咲はホッと息をついて、調理を続けた。

夜凪の雰囲気が黒く落ちて、スマホを持ってリビングを出ていった。

(仕事の話か…)

そんなことを考えながら調理して、夕食が出来上がる。

戻ってこない夜凪を、呼びに向かった。


部屋のドア越しに、夜凪の声が聞こえてきた。

「―――――だから、言ったろ?
早々に殺っておけと……!
そもそも、俺の茉咲を傷つけたんだ。
生きる価値なんて、存在しない」

“俺の茉咲を、傷つけた”

(もしかして、お父さんやお母さん達のこと!?)

茉咲は慌てて、部屋のドアノブに手をかけた。
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