愛したがりの若頭と売られた私
「――――うん、今日も可愛い!」

仕事の準備をしている、夜凪と茉咲。

服に着替えメイクをした茉咲を見て、うっとりしている夜凪。
照れながら笑う茉咲に、啄むキスを繰り返す。

「はぁ…こんな可愛い茉咲を見せたくないな…」
こんな言葉も、この二週間毎日だ。

ひたすら夜凪に愛でられていると、チャイムの音が鳴り響いた。

「―――――――失礼します!
若、茉咲さん。お迎えに来ました!」
丁寧に頭を下げ、池治が入ってくる。

「あ!
夜凪さん、池治さんが来られましたよ」

「んー、あと5分…」
そう言って、更に口唇や頬にキスを繰り返す。

「ん…//////夜凪…さ……//////」

「フフ…嫌がってる茉咲に無理矢理キスするの、楽しい〜」

「夜凪さ…ほんとに…//////」

「フフ…でも、本当に嫌がってないもんね!
わかるよ?
茉咲の本心」

更に弄ばれるようにキスで責められた。
そして漸く解放され、家を出た。

マンションのエレベーター内。
回数ボタンの前に池治がいて、後ろに夜凪と夜凪に腰を抱かれた茉咲が立っている。

茉咲は前にいる池治の後ろ姿を、そっと見上げた。

夜凪は場所など関係なく、茉咲を抱き締めたり、キスをしたりする。

そんな時でも池治は、顔色一つ変えない。

先程も、ただ黙って夜凪が満足するのを待っていた。

「………」
(凄いなぁ…)

「まーさき!」
すると………突然バッと目の前に、夜凪の顔が出てきた。

「……っ…え!?」

「どこ見てんのかな〜?」

「え?」

「いや、言い方違うか。
“誰を”見てるの〜?」

「あ…」

「ほらほら…僕だけを見て?」
ゆっくり夜凪の顔が近づき、口唇が重なった。

エレベーターが地下に着いた頃には、茉咲の顔は真っ赤に熱っていた。

「可愛い顔…//////」


独占欲が強く、嫉妬深い夜凪。

最後に茉咲の口唇をペロッと舐めて「その顔を見せるのは、僕だけにしてね?」と意味深に微笑んだ。

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