愛したがりの若頭と売られた私
ミネラルウォーターを買って、夜凪が戻ってくる。

栓を開け、茉咲の口元に持っていく。
「茉咲、水だよ。
ゆっくり、飲んで?」

「あ…すみません…」
コクコク…と、一口飲んだ。

「ごめんね、もう少し丁寧に運転するね……!」

「あ、いえ!
夜凪さんの運転のせいではなく、スマホを操作してたからで……
すみません!」

「あ、そうか。
どっちにしても、僕のせいだ!
ごめんね!
じゃあ、ここで何処に行くか決めようね!」

スマホを操作し、一緒に画面を眺める。
そして、山の上にある公園を見つける。

「ここなら静かだし、二人でゆっくり出来そうだ!
ここにしようか?」

「はい」

そして、車を発進させた。
公園に向かう車内で、茉咲は隣で運転する夜凪を見つめた。

サングラスをかけた横顔が、あまりにも綺麗で凛々しい。
「……/////」
(ほんと、カッコいいな……///////)

ヤクザじゃなくて、普通の人だったらなぁ……

最近、何度も考えることだ。
夜凪が、ごく普通の男性だったら……

今頃、茉咲の方が惚れているかもしれない。

優しくて、穏やかな紳士。
何をしても完璧にこなす、甘々なスパダリ。

何も、言うことないのに………

「ん?茉咲、なーに?」
視線を感じたようで、前を向いたまま夜凪が言う。

「あ…ご、ごめんなさい!」

「ううん!
見てていいよ!
茉咲の視線を独り占めなんて、幸せだし!」

「あ…いや…夜凪さん、綺麗だなって思って…//////」

「フフ…茉咲に言われると嬉しい!
…………でも、そんな嬉しいこと言われると我慢出来なくなるんだ……!」

ちょうど赤信号で止まり、夜凪が顔を寄せてきた。
チュッとリップ音をさせて、キスを交わした。

「ねぇ…公園に着いたら、まずキスをさせてね!」

そう言って、また前に視線を向けた。


そして………目的地である公園に着いた。

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