愛したがりの若頭と売られた私
茉咲もその手を握り返そうとして、躊躇した。
「ごめんなさい、やっぱダメだよ!」
「どうして?」
「私は、夜凪さんに買われたの。
あの方には逆らえない……!」
「逆らえないって……
好きなんですか?その旦那さんのこと」
「……………わからない。
確かに、夜凪さんとの生活に不満はない。
夜凪さんも優しくて穏やかで、とにかく甘い人だから。
それに可愛いところがあって、最近はその時間が心地良いって思えてきてた。
でも……夜凪さんは、恐ろしい人。
きっと……平気で人を……」
茉咲は、ブルッと身体を震わせた。
恭兵は切なく顔を歪ませ、握っている茉咲の手をそのまま引き寄せた。
「え……恭兵く…ダメ…」
「好きなんだ……!」
「え……」
「俺、茉咲さんが好きです!
…………俺と逃げましょ?
旦那からも、組織からも―――――――」
茉咲の頬を包み込んで、顔を寄せキスをした。
はぁ…はぁ…はぁ……――――――――
息を切らし、茉咲と恭兵は手を繋いでただただ走った。
「茉咲さん、もう少し頑張って!
もう少し行ったら、俺の死んだジィちゃんの空家があります。
とりあえず今日はそこで、休憩しましょ?」
そして更に走り、恭兵の祖父が住んでいた空家に向かう。
「―――――え?」
「なん……で……!」
空家の前に“見慣れた”高級車が停まっていた。
茉咲が固まり、ガクガク震えだす。
運転席から池治が出てきて、後部座席を開ける。
そして………
カツン…と足音をさせ、夜凪が降りてきた。
「まーさき!!
帰ろ?」
満面の笑みで両手を広げる、夜凪。
恭兵の、茉咲を握る手に力が入る。
「ほら、茉咲!おいで?
早くぅー!!」
「恭兵くん、逃げて?」
ポツリと恭兵に呟く、茉咲。
しかし恭兵の握る手の力は、強くなるばかりだ。
「………………それとも……
“目の前で”そのクソが消えるの見たいの?」
「恭兵くん!」
「………」
恭兵は、首を横に振る。
「恭兵くん、お願い!」
茉咲は、必死に手を振りほどこうとする。
「あと、5秒!」
「あ…あ…
…………恭兵くん!」
「………」
「恭兵くん!」
「あと、3秒!
2!
いーち!!」
「お願―――――」
その瞬間……恭兵がおもいっきり吹っ飛ばされた。
「ごめんなさい、やっぱダメだよ!」
「どうして?」
「私は、夜凪さんに買われたの。
あの方には逆らえない……!」
「逆らえないって……
好きなんですか?その旦那さんのこと」
「……………わからない。
確かに、夜凪さんとの生活に不満はない。
夜凪さんも優しくて穏やかで、とにかく甘い人だから。
それに可愛いところがあって、最近はその時間が心地良いって思えてきてた。
でも……夜凪さんは、恐ろしい人。
きっと……平気で人を……」
茉咲は、ブルッと身体を震わせた。
恭兵は切なく顔を歪ませ、握っている茉咲の手をそのまま引き寄せた。
「え……恭兵く…ダメ…」
「好きなんだ……!」
「え……」
「俺、茉咲さんが好きです!
…………俺と逃げましょ?
旦那からも、組織からも―――――――」
茉咲の頬を包み込んで、顔を寄せキスをした。
はぁ…はぁ…はぁ……――――――――
息を切らし、茉咲と恭兵は手を繋いでただただ走った。
「茉咲さん、もう少し頑張って!
もう少し行ったら、俺の死んだジィちゃんの空家があります。
とりあえず今日はそこで、休憩しましょ?」
そして更に走り、恭兵の祖父が住んでいた空家に向かう。
「―――――え?」
「なん……で……!」
空家の前に“見慣れた”高級車が停まっていた。
茉咲が固まり、ガクガク震えだす。
運転席から池治が出てきて、後部座席を開ける。
そして………
カツン…と足音をさせ、夜凪が降りてきた。
「まーさき!!
帰ろ?」
満面の笑みで両手を広げる、夜凪。
恭兵の、茉咲を握る手に力が入る。
「ほら、茉咲!おいで?
早くぅー!!」
「恭兵くん、逃げて?」
ポツリと恭兵に呟く、茉咲。
しかし恭兵の握る手の力は、強くなるばかりだ。
「………………それとも……
“目の前で”そのクソが消えるの見たいの?」
「恭兵くん!」
「………」
恭兵は、首を横に振る。
「恭兵くん、お願い!」
茉咲は、必死に手を振りほどこうとする。
「あと、5秒!」
「あ…あ…
…………恭兵くん!」
「………」
「恭兵くん!」
「あと、3秒!
2!
いーち!!」
「お願―――――」
その瞬間……恭兵がおもいっきり吹っ飛ばされた。