リーチェルの約束
「まるで小蝿のような娘だね」

そう魔族の一人が言った刹那、私の肩に衝撃が走る。それと同時に激痛が走る。見ると私の肩にナイフが突き刺さっていた。

「う、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

傷口が燃えるように痛い。私の体はゆっくりと落下していく。赤い血が魔族たちのいる方へと飛んでいった。

『一人で戦わないって約束だからね』

頭の中に声が蘇る。レイラさんの声だ。でも私はこんなことを出会ってから言われたことはない。つまりこれは私の過去の記憶だ。

『一人にしない。だから、リーチェルもそばにいて』

言葉と共にレイラさんの笑顔が浮かぶ。温かい波が心に押し寄せる。温かくて優しい思い出たちが次々と頭に浮かぶ。そして、同時にレイラさんのーーーいや、レイラへの気持ちへの答えが落ちてきた。

(私、大事なことをずっと忘れちゃってた。レイラを苦しめたね……)

落ちていく中、そんなことを考えていた。その時ふわりと抱き締められる。落ちている途中で体が止まった。
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