リーチェルの約束
「リーチェル！」

大声で名前を呼ばれ、ぼんやりとしていた意識がはっきりと戻る。顔を動かせばレイラがいた。その顔は怒っているようにも悲しんでいるようにも見える。

「傷が……。ユリナさんに治してもらおう！」

レイラが私を連れて急降下する。急降下した先にはユリナがいた。ユリナは血を流した私を見て真っ青な顔をしつつ、「レイラさん、ありがとう！」と言いながら私に回復魔法をかけてくれた。

「ユリナ、ありがとう。レイラ、ありがとう」

私がそれぞれの顔を見つめ、お礼を言う。レイラは驚いた顔をしていた。その目に涙が浮かぶ。私はレイラに「思い出したよ」と言い、杖を手に立ち上がった。

「ゆっくり話すのはこの魔族たちを倒してからだね！」

私の言葉にレイラとユリナは頷き、走り出す。私も地面を蹴った。頭の中でバラバラだった記憶のピースが集まり、完成したパズルが輝いている。

私は元々は魔法とは無縁の世界で生きていた。車や電車など発展して便利なもので溢れた世界。そんな世界でごく普通の生活を送っていた。だけどある日事故に遭って、気が付いたらこの世界に転生していた。
< 14 / 16 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop