君のハートにホームラン★
「優太」
「……何?」
「だから優太」
「……え?俺?」
そんなあたしのハートを揺さぶるくらいのホームランを放った優太を、選ぶに決まってるでしょうが……!
「……は?」
明らかに驚愕した表情を浮かべる啓介にあたしは……。
「今までお世話になりましたー!さようなら。浮気男ー!」
力いっぱい叫んで優太の手を引き背中を向けた。
啓介のお得意の舌打ちが聞こえたけど、もうどうでもいい。浮気者はうんざりなの。
それに、あたしの彼氏様は今日から優太だし。
「ねぇ、優太。今年の夏はお祭りと、海と、花火に行きた~い」
「いや、いいけどさ……」
「でも、やっぱり1番は甲子園に連れて行って欲しい」
「ほんと可愛いな。お前。ってそれよりもさ……」
「何~?」
「……さっき言ったのマジ?俺、本気に取っていいの?」
不安げにあたしを見つめる優太に愛しさが込み上げる。
「それってホームランを打ったのにファールじゃないですか? って聞くのと一緒だよ」
足を止めてそう言い返したあたしに優太は「なるほどな」と照れくさそうに笑った。
ドコまでも優しい優太。
ドコまでも我儘なあたし。
プラスとマイナスみたいでちょうどいいんじゃない?
「いっぱい可愛いがってね?」
Fin
「ね、部活行かなくていいの?」
「大丈夫。さっきから監督がニヤニヤ笑いながら隠れてこっち見てるし」