たった一言の純情

たった一言

朝から騒がしい蝉の鳴き声。
平日の7時。通学の時間。
足が地面を蹴る度に制服のスカートがふわりと揺れる。

「ごめ〜んっ。みっちゃん、急いで〜!」
「えーっ」
「お願い、これだけは譲れないんだって‼」


住宅街の道路を走り抜け、後方で息を切らしている友達のみっちゃんに叫ぶ。

朝から走らせるな〜!ってクレームへの返事。

家庭科部のみっちゃんとテニス部の私。体力の差は結構ある。


それでも私の我儘に付き合って必死に走ってくれるみっちゃんは優しい。


走ることになった原因はみっちゃんが寝坊したからだったりするけど、そこはもう許しちゃう。


とにかく髪を結びながら目的地のバス停に向かって2人で一目散。

バス停まで後少し。今日も間に合うかな…?


「……はぁー。良かった。間に合った〜っ」
「いや。誰も居ないじゃん…。走る意味」


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