たった一言の純情
だけど、私に取ってその一言は大きい。
貰うと1日が充実した気分になる。
ちなみに1番始めにバスに乗りたい理由は1番前の左側の席を確保する為。
そこからだとバスに乗っている好きな人の顔がちゃんと見えるから。
彼は決まって前の席に座っているし、朝とはいえ、そのバスはそんなに混まない。
だから座れば彼の姿がよく見える。
まぁ、あわよくば彼の視界に私の姿が多めに入ってくれないかなって薄い期待。
多くは望まないけど、認知はされたい。
その為に先頭を毎朝勝ち取ってる。
「あの人のドコがそんなにいいの?」
ワクワクしながらバスを待っている私の横でみっちゃんが不思議そうな顔をする。
どうやらみっちゃんにはあの人の魅力が分からないらしい。
こうやって時々、理由を問われる。
その度に熱く彼について語る私。
私からすれば、どうしてあの人の良さが分からないのか謎って感じだけど、みっちゃんからすれば“無い”の部類に入るんだとか。
そりゃ友達と好きな人が被るのは気まずいし、無いと思ってくれていた方が有り難いけど、伝わらなくてちょっと寂しい。
本当にめちゃくちゃカッコイイのに。
何より優しいし。
足腰の弱ったお爺さんだったり、子供連れのお母さんだったり、人が困っていたら直ぐに手を差し伸べて助けてる。
そんな彼の姿を見ると逐一惚れる。
ただ好きなのは私だけだといいんだけど、そうじゃないから困る。
まぁ、それでもやっぱり好きだけど。