砂時計は止まらない

 「もう、俺に飽きた?」


 事が終わった後。ふと優真が私から身体を離して尋ねてきた。少しだけ首を傾けて切なげな笑みを浮かべながら。


 「……なんで?」


 正直、どうしてそんなことを聞くのか分からなかった。優真はいつだって大事なことを言わない。


 「してる間中ずっと上の空だったから」


 寂しそうに言われて慌てて首を横に振る。


 「そんなことないよ」


 嘘。本当はボーっとしてた。でも、悠真に愛されたいと考えてたとは言えない。こうやって小さな嘘が積み重なっては増えていき、愛や絆は減っていく。こんな関係を望んだのは、取り戻したかっただけなのかも知れない。愛されていた時間を。


 「してたくせに」

 「違う」

 「もういい。お前要らない」


 でも、時の流れは残酷に過ぎていく。

< 4 / 8 >

この作品をシェア

pagetop