光と幽霊の彼女
家
「さーて雅子何をする?」
家に帰るとすぐに雅子に話しかける。学校ではあんまり喋れないから、家でその分話したい。
「そうだなー、私は幽霊だから物には触れないしなー」
「いつもみたいにボードゲームやるか」
ボードゲームとは言ってもオセロとか人生ゲームとか、そういう手札が見えても良いやつだがな。
「ボードゲームはねえ飽きた」
そう言って雅子は足をバタバタさせる。
「そんな文句言わんくてもよくない?」
「じゃあ何ができるんだろ」
雅子は転がりながら考えている。
「うーん」
「じゃあ二人でSNSを見るのは?」
雅子が恐るべき提案をした。
「お前、現代人過ぎるだろ」
二人いてSNSを見るとは、誰かに怒られそうな提案だな。
「えーでもほかにできる遊びなんてないし」
「お前、幽霊だったら人に乗り移るとかできないのか?」
俺はふと思いつきで話す。幽霊になった直後は無理だったのだが、今だったらできるのかも知れない。それで乗り移れたら、大富豪とかも出来るかもしれない。まあそれ以前に雅子の存在を立証出来るけど。
「うーんたぶんできないと思う、さっきやってみたけど無理だった」
「そうか」
「ねーえ、そんなのいいからSNS見ようよ」
「わかったよ」
そして俺のスマホでSNSを見る。
「うわあひどい書き込みしか無いね」
雅子が呟く。
「そうだな、世の中荒れてんのかな」
「これとか見てよ」
そう言って雅子は一つの書き込みを指さす。
「うわあひどいな」
その書き込みには、「正樹監督は認知症だから監督やめたほうがいい、たぶんこいつ選手の名前とか覚えてないだろ。もう老害だから死ねばいいと思う。もうこの世の癌だし」と書いてあった。
どう育てばこんなにも心無いことをかけるのだろうか。全く理解することができない。
「ねえこれも見て」
そこには「銅峰選手もう引退しろ。お前のせいでいくつの勝ちを捨てると思ってるんだ。もうお前なんかチームにいらないし、こんな成績で一億もらってるのも腹立つし、もう引退してくれないかな」と書かれていた。
さっきの書き込みの内容に引けを取らないくそみたいな書き込みだ。最近本当にこういう奴が多い。プロ野球選手だけではないのだ、芸能人に対してもこういう書き込みが多い。
本当に見ているだけでしんどくなるような書き込みばっかりだ。