光と幽霊の彼女
「もうやめよう、いい書き込みだけ見ようよ」
俺は提案する。あえてダメージを受けなくても良いのだ。
「えーいいじゃん。私は楽しいよ」
「もう、こういうの探せ」
そこには漫画が描いてあった。それはいわゆる百合漫画というジャンルだ。
「えー光、こういうのが好きなの?」
「そういうわけじゃないけど、こういうやつ見たほうが断然良いだろ」
百合漫画というのは単に女子同士の行き過ぎた友情……カップルという感じだ。
「ふーん、私は誹謗中傷を探したほうが楽しいけどな」
「お前の心汚いな」
俺は雅子のそういう態度に少しだけ腹が立つ。もうこうなったら誹謗中傷をしている人と同じだ。
急に玄関からピンポーンと音がした。
「なに?」
「どうせ宅配便だろ、母さんがいるから大丈夫だろ」
「そう?」
「まあとりあえずこのマンガ読もうぜ」
それはいわゆる親友が女に変わってしまうタイプの漫画だ。
「はあ、なんか光の好きな漫画の傾向が分かってきた気がする」
「別に俺の趣味というわけじゃないからな」
そう言い訳しておこう。まあ出てくる理由は俺がその漫画をフォローしているからなんだがな。
「はいはい、分かってるよ、お前の趣味なんてな。俺が付き合ってやるよ」
雅子が必死で男子の真似をする。
「いや、そんなんじゃ全然ないから」
そう言って俺は笑う。雅子は最高だ。