光と幽霊の彼女
そして母さんの喋りが止まった。思うところはあるのだろう。
「どうせ母さんは雅子のことを忘れろって言うんだろ」
さらに畳み掛ける。俺は怒っている、怒っているのだ。もはや親とか関係ない。ムカつくものは仕方ない。
「あの、すみません大声で話されますと周りのご迷惑となりますので」
「ああ、すみません」
店員が注意してきた。大声を出してしまったから仕方ないと思いつつ店員さんにもついでに軽くムカついてしまう。
「一旦切るわ」
「ちょっと光!!」
母さんは喚くが、そんな物は無視だ。逃げの一手は嫌なのだが、それ以上にムカつくのだ。あんな事を言ったのに、素直に帰ってくれると思っていることが。
「ふう、食べるか」
「いいの?」
「ああ、どうせ母さんなんて雅子のことなんて何も考えてないから」
ハンバーガーを食べる。肉汁と野菜のシャキシャキ感がマッチして美味しい。
「そうは言っても私のこと見えないから仕方ないよ」
「仕方ないって雅子もそっちの味方なの?」
強い口調で言う。雅子だけは俺の味方であれ。
「そうじゃないけどさ、私はお母さんが思ってる気持ちもわかるんだ」
「分かるんだ、俺は雅子のためを思って行動してるのに」
まさか分かると言われるとは思っていなかった。母さんこそ無理矢理くっ付けようとする悪い奴じゃないか。
「光…」
「てか、早く食べないとな」
そう言って光はハンバーガーをむしゃり始まる。