光と幽霊の彼女
「あのさ、さっきのSNSの投稿のやつさ」
「おう」
「私ね、ああ言うのは酷いと思うの」
「お前にもそう言う良心あったんだ」
無いと思ってた。むしろあんなことを思ってる、そう思ってた。
「当たり前でしょ、まあ私は楽しませてもらってるから」
「楽しんでるのかよ」
じゃあ同罪だろ。
「当たり前でしょ、楽しんでるのと、ひどいと思うのとは同じだよ」
「どういう理論なんだよ」
「だって、面白いんだよ、こういうことを言うひどい人がいるんだって」
「意味が分からねえ、俺には全く理解できない」
SNSにはさまざまな意見があるが、この雅子の意見も全く共感できない。もしかしたらこの広い世界には雅子の意見にも共感できる人もいるのかな。
「それでさ、私の存在を言ってみない?」
急に真剣な話になった。
「なんでさ」
「もし私の存在を知らしめたらさ、理解してもらえるかもしれないよ」
「前に言ったことがあるじゃん、その時に頭おかしい判定されたんだよ。俺、あれがあるからあんまり言いたくない」
俺は頭を伏せる。あの事件以降。人の悪意を恐れている。
もしも俺が変なことを言ったら俺なんてすぐに捨てられると。実際そうだ。あの日の周りの目を思い出したらすぐにわかる。俺なんてしょせんこうなんだと。
「でも、このままだったら私の存在がばれるのも時間の問題だし、それならば今言っちゃったほうがいいと思うんだけど」
「なら後で言うか、言うの怖いけど」
どうしようか、本音としては言いたく無い。だが、雅子が言っていることも一理ある。
「うん、私応援してるね」
「おう」