仙女の花嫁修行
2.師匠の師匠に御挨拶
月日が経つのは早いもので。
颯懍を落としてから、もとい、弟子入りしてから20年がたった。
今日も今日とて私は、滝に打たれて精神統一。
仙骨を持ち修行中の者を道士と言うのだけれど、私は修行をしつつ旅をしている。
旅の目的地は仙人達が暮らす場所――桃源郷。
そこはとある山奥に入口があると言うのだが……。真っ直ぐに向かうのかと思いきや、馬に乗ることも車に乗ることも無く歩いてまわり、あちらこちらで寄り道をしては道草を食っている。
そんな旅も悪くないと思えるのは、颯懍が何気に人助けをしたり、施したりしているから。
私を助けてくれた時のような仰々しい事はあまりなのだけれど、サラッとサクッと誰かに手を貸してあげる姿は、本当にカッコイイ。
そして、もうひとつの要因。それは私の身体の時が止まったから。
修行を初めてから徐々に体の成長と老化が遅くなり、ここ十年くらいの見た目が変わらなくなったことから、完全に止まってしまったようだ。
だから時間を気にすることが無くなって、のんびりとした旅でも焦らない。
しばらく滝に打たれていたら、集中力が増してきた。今なら行けそうな気がする。
滝壺から抜け出して、足の裏を水面につける。
身体の中にある陰の気と陽の気を縒り合わせて一つにし、力を足へと流し込んで水を踏んだ。
いつもならそのまま水面を突破ってしまうところが、今回は違う。
足に力が入って、地を足で踏むように水面の上を歩くことが出来た。
「ぃっ……いやったーー! 師匠!! やりましたよ! ほら、水面を歩いて……っっ!!」
颯懍を落としてから、もとい、弟子入りしてから20年がたった。
今日も今日とて私は、滝に打たれて精神統一。
仙骨を持ち修行中の者を道士と言うのだけれど、私は修行をしつつ旅をしている。
旅の目的地は仙人達が暮らす場所――桃源郷。
そこはとある山奥に入口があると言うのだが……。真っ直ぐに向かうのかと思いきや、馬に乗ることも車に乗ることも無く歩いてまわり、あちらこちらで寄り道をしては道草を食っている。
そんな旅も悪くないと思えるのは、颯懍が何気に人助けをしたり、施したりしているから。
私を助けてくれた時のような仰々しい事はあまりなのだけれど、サラッとサクッと誰かに手を貸してあげる姿は、本当にカッコイイ。
そして、もうひとつの要因。それは私の身体の時が止まったから。
修行を初めてから徐々に体の成長と老化が遅くなり、ここ十年くらいの見た目が変わらなくなったことから、完全に止まってしまったようだ。
だから時間を気にすることが無くなって、のんびりとした旅でも焦らない。
しばらく滝に打たれていたら、集中力が増してきた。今なら行けそうな気がする。
滝壺から抜け出して、足の裏を水面につける。
身体の中にある陰の気と陽の気を縒り合わせて一つにし、力を足へと流し込んで水を踏んだ。
いつもならそのまま水面を突破ってしまうところが、今回は違う。
足に力が入って、地を足で踏むように水面の上を歩くことが出来た。
「ぃっ……いやったーー! 師匠!! やりましたよ! ほら、水面を歩いて……っっ!!」