仙女の花嫁修行
御屋敷の中へ、何故だか知らないけれどこっそりと入って行く颯懍。それに従ってついて行く私。
廊下の向こうから女性達の声が聞こえてくるとササッと物陰に隠れたので、仕方なく私も隠れた。
なにこの隠れんぼは。
「師匠、何でコソコソしてるんです?」
「こ、こそこそなんてしておらぬ! いいから黙って付いてこい」
怪しい動きをする颯懍に不信感たっぷりな視線を送っている所へ、今度は逆方向から足音が聞こえてきた。
「あらーー!? もしかして、そちらにいらっしゃるのは颯懍様ではないですか」
「まあ、お久しぶりですわね。今までどちらに行ってらしたのですか? 」
「俗世で旅してらしたのでしょう? 是非お話を聞かせて下さいな」
背後から声を掛けてきたのは、それはもうお綺麗なお姉さま方。淡い色合いの羽衣を纏った姿はまさに仙女そのもの。紅をあしらった唇でほほほ、と笑っている。
「これから老君様の所へ、挨拶に伺おうとしているところだ。失礼する」
あっという間に美女3人に取り囲まれた颯懍は、ぶっきらぼうに答えると、逃げるようにしてその場から去っていった。
「ちょっ、師匠! 待って下さいよー」
「師匠?!」
颯懍を追いかけようとした私の腕を、先程の女性が掴んできた。3人とも驚愕の表情を浮かべている。
「今あなた、颯懍様の事を師匠と呼んだわね? 弟子なの?!」
「そうですけど」
「嘘でしょう。女の弟子を取るなんて……」
「これは私たちにも、まだチャンスはあると言うことですわね!」
色めきたっているところ悪いが、このままだと颯懍を見失ってしまう。こんな広い御屋敷で探すのはきっと一苦労だ。「失礼します」と一礼して、急いで後を追いかけた。
廊下の向こうから女性達の声が聞こえてくるとササッと物陰に隠れたので、仕方なく私も隠れた。
なにこの隠れんぼは。
「師匠、何でコソコソしてるんです?」
「こ、こそこそなんてしておらぬ! いいから黙って付いてこい」
怪しい動きをする颯懍に不信感たっぷりな視線を送っている所へ、今度は逆方向から足音が聞こえてきた。
「あらーー!? もしかして、そちらにいらっしゃるのは颯懍様ではないですか」
「まあ、お久しぶりですわね。今までどちらに行ってらしたのですか? 」
「俗世で旅してらしたのでしょう? 是非お話を聞かせて下さいな」
背後から声を掛けてきたのは、それはもうお綺麗なお姉さま方。淡い色合いの羽衣を纏った姿はまさに仙女そのもの。紅をあしらった唇でほほほ、と笑っている。
「これから老君様の所へ、挨拶に伺おうとしているところだ。失礼する」
あっという間に美女3人に取り囲まれた颯懍は、ぶっきらぼうに答えると、逃げるようにしてその場から去っていった。
「ちょっ、師匠! 待って下さいよー」
「師匠?!」
颯懍を追いかけようとした私の腕を、先程の女性が掴んできた。3人とも驚愕の表情を浮かべている。
「今あなた、颯懍様の事を師匠と呼んだわね? 弟子なの?!」
「そうですけど」
「嘘でしょう。女の弟子を取るなんて……」
「これは私たちにも、まだチャンスはあると言うことですわね!」
色めきたっているところ悪いが、このままだと颯懍を見失ってしまう。こんな広い御屋敷で探すのはきっと一苦労だ。「失礼します」と一礼して、急いで後を追いかけた。