仙女の花嫁修行
 僊人や真人と言うのは、仙人の階級の事。
 ひと口に仙人と言ってもやはり格というものがあって、上から順に神人、真人、僊人、天仙、地仙とくる。
 数多くいる仙の内、ほとんどは地仙か、良くても天仙。上位階級の神・真・僊人をまとめて神僊と言って、極々限られた者だけがなれるエリート組なのだ。

 もちろんこちらにいらっしゃる太上老君は、5人いる神人の内の一人で、颯懍は僊人。神人は現在いる5人で揺るがないので、颯懍は実質的には上から2番目の階級にいることになる。


 にしても、「嫁」って一体何の話なんだろう?
 仙人って結婚するの?
 なんなら子供は出来ないって聞いたけど??

 私は一応女だけど、修行を始めてしばらくすると、月のものは来なくなった。それは不老長寿の体に近づいたからだと説明されたし、子を成せない体になる代わりに、そのエネルギーは女性なら陰の気に、男なら陽の気に変わるのだと言っていた。

 頭の中が「?」でいっぱいだけれど、目上の人の会話を邪魔する訳にもいかず、とりあえず黙ったまま2人の会話を見守る。

「儂が大事に育て過ぎたばっかりに……。それで、戻ってきたと言うことは、やっと決心がついたのかの? そちが嫁にしたいと言えば、どの女仙でも喜んで引き受けると思うが」

「あー、えー、いや。それは、そのー」

 颯懍がもごもごと口ごもっているうちに、老君の視線がこちらへと向けられた。眉毛をクイッと上げて驚いたような顔から察するに、今、私の存在に気が付いたらしい。

「んん? 後ろにいるその女子(おなご)は誰じゃ。見たところ仙骨持ちのようだが」

「はっ、はい! 私、颯懍様の弟子で明明と申します。本日は大師匠にご挨拶しに参りました!」
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