仙女の花嫁修行
「さっきお主が言っていたように、男女で作り出される精気は違う。男の俺なら慢性的に陰の気が足りない」

「そうなりますね」

 仙術を使うには、陰の気と陽の気を縒り合わせて神通力と言うパワーにする必要がある。陰・陽どちらをどれだけ使うかは、使おうとしている術がどの性質に属しているかで変わってくる。

 例えば水に関する仙術を使いたければ、水は陰に属するので陰の気の方を多く必要とする。
 木と火は陽、水と金は陰、土は中間、と言った具合に。

 仙人や道士は食べ物や飲み物、それから自然の中に宿る精気を取り込む事が出来るとは言え、やはり片方の気が慢性的に欠乏状態になってしまう。

「その足りない片方の分を、効率的にカバーする方法がある」

「へえ! そんな方法があるのですか?!」

 これまでは足りない方の気に属する食べ物を摂る事などで補ってきたけれど、そんな方法があるのなら早く教えて欲しかった。
 早く早く、と期待の目で颯懍を見ると、気まずそうに顔を背けて呟いた。


「……房中術。平たく言うと性交」

「せっ……いこう……」

「互いの精気を、性交することによって交換するのだ」


 性交って、アレですよね? 男と女が同じ床に入ってするアレ。

「そそそそれって、仙人は子供は出来ないけど、精気を得るためにエッチするって事なんですか……!?」

 こくん、と頷き返した颯懍の顔が、ますます暗くなった。
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