仙女の花嫁修行
「それで、天宇となんの話しをしていたんだ」
「仙薬の効き目はどうか聞いていただけですよ」
「仙薬?」
「はい。師匠に飲んでもらっているのと同じやつを兄さんにも試して貰っているんです」
颯懍と天宇に飲んでもらっている仙薬。それはもちろん、男のアレを元気にする精力増強剤ってやつ。私なりに配合や術を考えて、目下試行錯誤中である。
「いっっ……!お主まさか、天宇に言ったんじゃ」
「大丈夫ですよ、言う訳ないじゃないですか」
天宇にはまるで俗世の人に精力を増強する仙薬を振る舞うかのように言ったけど、実際には颯懍の為だ。もちろんこれで上手くいったら、世の悩める男性達に配るのも良いかもしれない。
「師匠の方はどうです? こう、ムラムラっと来たりしますか??」
期待を込めて顔を覗き込んだがハズレだったようだ。むっつりとした顔で答えた。
「……いや。何も」
「兄さんには効いているみたいなんだけどなぁ。やっぱり蝮は身の部分じゃなくて、胆嚢を入れた方がいいのかな。スッポンは内蔵よりも血を入れてみるとか? 私がかける術が未熟なのもあるけど……うーん」
新薬の開発は難しい。焦らずじっくりと取り組まないとダメだな。薬の開発と同時並行して別の方法を試みて行った方が良さそうだ。
「師匠、金烏って桃源郷から出て俗世へも送って貰えるんですか?」
「ああ、納得の行く報酬さえ与えれば何処へでも連れて行ってくれる」
「それなら今日は私についてきてください! ちょっと遠出します」
「何処へ行くつもりだ?」
「それは着いてからのお楽しみ、ってやつですよ。私は準備がありますので師匠も飛び切りお洒落して、身なりを整えておいてくださいね!!」
颯懍は見てくれが良いからお洒落する必要なんて無いのかもしれないけど、相手に舐められない為にはある程度着飾って貰っておいた方がいい。
さて、私も準備しますか!