仙女の花嫁修行
「新しい服に着替えなきゃね。まああたしは招待客じゃなくて配膳係だから、普段着でも構わないわね」
「紅花さん、私、服をもう一着持っているんです。来てください!」
肩を落とす紅花の手を引いて、自分が寝泊まりしている部屋まで連れてきた。
大事に閉まっておいた布包みを開けると、中からもう一着、上質な余所行きの服が出てきた。
「実は師匠が不測の事態があった時用にって、二着用意してくれていたんです。ほら、私おっちょこちょいだから」
今こそ不測の事態だよね!
紅花に汚れた服を脱いでもらって、新しい服に袖を通してもらう。淡い黄色系の茶髪と合わせたかのように、深い緑の卡其緑色の服が驚くくらいによく似合っている。
こういう落ち着いた色合いは、私じゃきっと似合わない。
まさか紅花の為に用意したのかな。
……なんてね。紅花の服が台無しになる事なんて、いくら天才的な仙術使いと言われる颯懔だって未来が見える訳でもなし。分かるはずない。
「紅花さんすっごくよく似合ってます!」
「借りてもいいの? あたしが着ると、またダメにしてしまうかもしれないのに」
「ダメになったらまた買ってもらえば良いんですよ! 師匠は結構、お金持ちみたいなので」
イヒヒと笑ってみせてから部屋を出て、持ち場へと急いで向かった。
「紅花さん、私、服をもう一着持っているんです。来てください!」
肩を落とす紅花の手を引いて、自分が寝泊まりしている部屋まで連れてきた。
大事に閉まっておいた布包みを開けると、中からもう一着、上質な余所行きの服が出てきた。
「実は師匠が不測の事態があった時用にって、二着用意してくれていたんです。ほら、私おっちょこちょいだから」
今こそ不測の事態だよね!
紅花に汚れた服を脱いでもらって、新しい服に袖を通してもらう。淡い黄色系の茶髪と合わせたかのように、深い緑の卡其緑色の服が驚くくらいによく似合っている。
こういう落ち着いた色合いは、私じゃきっと似合わない。
まさか紅花の為に用意したのかな。
……なんてね。紅花の服が台無しになる事なんて、いくら天才的な仙術使いと言われる颯懔だって未来が見える訳でもなし。分かるはずない。
「紅花さんすっごくよく似合ってます!」
「借りてもいいの? あたしが着ると、またダメにしてしまうかもしれないのに」
「ダメになったらまた買ってもらえば良いんですよ! 師匠は結構、お金持ちみたいなので」
イヒヒと笑ってみせてから部屋を出て、持ち場へと急いで向かった。