輝く樹木

第1章 第23話

 月明かりと星明りに照らされた庭に、輝夫の部屋から漏れた光が入り混じって、静かな真夜中の音が響いていた。輝夫は右側の木の幹の辺りをじっと見つめていた。黄色い光が微かに見えた。その黄色い光は少しずつ輝きを増して行った。幹全体が黄色く輝いていた。輝夫は机の上にスマホを置いてカメラの部分を窓の方に向けた。ビデオ録画の開始ボタンを押した。庭全体が黄色い光で染まっていた。窓から黄色い光が流れ込んできた。部屋全体が黄色い光で溢れていた。輝夫は体全体が心地よい暖かさに包まれているのを感じた。黄色い光の心地よい眩しさで瞼を閉じずにはいられなかった。完璧な闇に覆われた。体が少しずつ浮かんでいくのを感じた。暗い闇の中を黄色い光の線が時々過ぎ去っていった。何とも言えない心地よい眩しさを感じていた。
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