輝く樹木
第1章 第27話
輝夫は中央の木の幹の辺りをじっと見ていた。黄緑色に微かに輝いていた光は少しずつその輝きを増して行った。やがてその輝きは強烈な眩しさになっていき、まともに見つめていられなくなり目を下に向けた。薄茶色の床が黄緑色に染まっていた。壁も天井も黄緑色に染まっていた。部屋にあるすべてのものが黄緑色に染まっていた。体中が心地よい暖かさに包まれていくのを感じた。部屋中に溢れる黄緑色の眩しい光が輝夫の瞼に心地よい重さを与えた。その心地よい重さによって心地よい暗闇に包まれた。心地よい暗闇の中で体が少しずつ浮いていくのを感じた。暗闇の中を時々黄緑色の線が通り過ぎていった。