輝く樹木
第1章 第29話
輝夫は中央の木をじっと見ていた。微かに黄緑色に輝いていたのを覚えている。今そこに見えるのは星の光に照らされている薄明かりの中に立っている三本の木である。微かな黄緑色の光を見たのはほんの数秒のことであるはずなのに、可成り長い時間別の所へ行っていたような気がする。部屋の電気を点けた。少し開いていた窓を最後まで閉めてからレースのカーテンと遮光カーテンを閉めた。しばらベッドの前で何も考えずに立っていた。枕元のスモールライトを点けてから部屋の電気を消してベッドに横になった。スモールライトだけの薄明かりの中で、天井が不思議なほど白く輝いていた。その天井にある映像が映し出されてきた。ある授賞式のように見えた。何の授賞式であろうかと考えている内に深い眠りに誘われていくのを感じた。