輝く樹木
第1章 第40話
リビングルームでテーブルを挟んでテレビの向かい側の椅子に輝夫は座っていた。テレビにはCOP21でパリ協定採択に喜ぶ仏大統領、COP21議長、国連事務総長の姿が映っていた。テーブルにスケッチブックが、白紙のページが開かれて置いてあった。スケッチブックの右側には色鉛筆の入ったケースが置いてあった。輝夫はパリ協定採択の模様を報道している番組をじっと見ていた。
「COP21でパリ協定が採択されたんだね」
「COP21は何の略なの」
「僕も知らなかったから、この機会に調べたけど第21回気候変動枠組条約締約国会議の略だね」
「京都議定書というのがあったでしょう。どう違うのかしら」
「京都議定書は温室効果ガスの削減義務を先進国だけに課していたのに対して、パリ協定は途上国も含んでいる点が大きく違うみたい」
「先進国が今まで石油などの化石燃料を大量に消費してきたんで、そのために二酸化炭素の割合が増えている。さんざん自分たちで使ってきて、発展途上国がようやくこれから経済発展していくという段階で、温暖化対策といわれても最初は納得できないのは当然だろうな。それがパリ協定では、発展途上国も含めて約150ヶ国の首脳が集まったんだから、この問題はそれだけ深刻になったんだろうな」
「わたしたち時々話したことがあるよね。ここから引っ越して自然に囲まれた快適な生活を手に入れたいって。でもそういうところでは車なしでは生活できないでしょう。それにあなたとわたしで別々に車を所有しなければどうしても不便になるから、2台所有することになるでしょうね。それを考えるとわたしたちの将来の夢というのは、温暖化対策にはあまり貢献でないと思ってしまうわ」
「そう、それでその時はガソリン車よりも値が張るけど、ハイブリッドにしようと思っているんだ。それで最終的にはEVつまり電気自動車に変え替えるか、少なくともPHVに買い換えたいと思ってるんだ」
「PHVってどんな車なの?」
「プラグインハイブリッドの略で、家や充電スタンドで充電して、電気自動車としても使えるハイブリッド車かな。理想を言うと家に太陽光パネルを取り付けて、蓄電池も装備して、化石燃料に頼らない生活にできたらいいね」
「でもその設備のためにお金がかかりそうね」
「そう、それが難点だな。でも地球温暖化問題に貢献するためにお金を使うと思って、一生懸命節約するしかないか」
パリ協定採択の報道番組が終わった後、輝夫はスケッチブックの白いページをじっと見ていた。輝夫の脳裏にはパリ協定採択の鮮やかな映像が映っていた。映像は少しずつ薄らいでいた。スケッチブックの白いページにはパリ協定の映像が薄っすらと現れていた。脳裏の映像が全く消えて暗闇が現れた時、スケッチブックの白いページにはパリ協定の鮮やかな映像が現れていた。輝夫は色鉛筆の入ったケースを開けて、次から次へと様々な色の色鉛筆を取り出しては元に戻した。スケッチブックの白いページに鮮やかに映し出されたパリ協定の映像の上で色鉛筆を持った手が動き始めた。白いページに現れた映像が少しずつ薄れていくに従って色鉛筆によって描きだされた映像が少しずつ姿を現していった。白いページに現れた映像がすっかり姿を消した時、色鉛筆で描かれたパリ協定の光景の鮮やかな絵が現れた。色鉛筆をケースに戻してケースの蓋をした後、輝夫は描き終えた絵をしばらく見つめていた。スケッチブックに描いた絵の中央に紫色の点が現れて、微かに光りだした。その点は少しずつ大きくなりその輝きをまして行った。眩しい紫色の光は瞼に心地よい重さを与えた。心地よい暗闇に覆われていった。体中が心地よい暖かさに包まれていった。体が信じられないくらいに軽くなっていくのを感じた。心地よい暗闇の中で体が浮いていくのを感じた。心地よい暗闇の中で眩しい紫色の光の線が横切っていった。
「COP21でパリ協定が採択されたんだね」
「COP21は何の略なの」
「僕も知らなかったから、この機会に調べたけど第21回気候変動枠組条約締約国会議の略だね」
「京都議定書というのがあったでしょう。どう違うのかしら」
「京都議定書は温室効果ガスの削減義務を先進国だけに課していたのに対して、パリ協定は途上国も含んでいる点が大きく違うみたい」
「先進国が今まで石油などの化石燃料を大量に消費してきたんで、そのために二酸化炭素の割合が増えている。さんざん自分たちで使ってきて、発展途上国がようやくこれから経済発展していくという段階で、温暖化対策といわれても最初は納得できないのは当然だろうな。それがパリ協定では、発展途上国も含めて約150ヶ国の首脳が集まったんだから、この問題はそれだけ深刻になったんだろうな」
「わたしたち時々話したことがあるよね。ここから引っ越して自然に囲まれた快適な生活を手に入れたいって。でもそういうところでは車なしでは生活できないでしょう。それにあなたとわたしで別々に車を所有しなければどうしても不便になるから、2台所有することになるでしょうね。それを考えるとわたしたちの将来の夢というのは、温暖化対策にはあまり貢献でないと思ってしまうわ」
「そう、それでその時はガソリン車よりも値が張るけど、ハイブリッドにしようと思っているんだ。それで最終的にはEVつまり電気自動車に変え替えるか、少なくともPHVに買い換えたいと思ってるんだ」
「PHVってどんな車なの?」
「プラグインハイブリッドの略で、家や充電スタンドで充電して、電気自動車としても使えるハイブリッド車かな。理想を言うと家に太陽光パネルを取り付けて、蓄電池も装備して、化石燃料に頼らない生活にできたらいいね」
「でもその設備のためにお金がかかりそうね」
「そう、それが難点だな。でも地球温暖化問題に貢献するためにお金を使うと思って、一生懸命節約するしかないか」
パリ協定採択の報道番組が終わった後、輝夫はスケッチブックの白いページをじっと見ていた。輝夫の脳裏にはパリ協定採択の鮮やかな映像が映っていた。映像は少しずつ薄らいでいた。スケッチブックの白いページにはパリ協定の映像が薄っすらと現れていた。脳裏の映像が全く消えて暗闇が現れた時、スケッチブックの白いページにはパリ協定の鮮やかな映像が現れていた。輝夫は色鉛筆の入ったケースを開けて、次から次へと様々な色の色鉛筆を取り出しては元に戻した。スケッチブックの白いページに鮮やかに映し出されたパリ協定の映像の上で色鉛筆を持った手が動き始めた。白いページに現れた映像が少しずつ薄れていくに従って色鉛筆によって描きだされた映像が少しずつ姿を現していった。白いページに現れた映像がすっかり姿を消した時、色鉛筆で描かれたパリ協定の光景の鮮やかな絵が現れた。色鉛筆をケースに戻してケースの蓋をした後、輝夫は描き終えた絵をしばらく見つめていた。スケッチブックに描いた絵の中央に紫色の点が現れて、微かに光りだした。その点は少しずつ大きくなりその輝きをまして行った。眩しい紫色の光は瞼に心地よい重さを与えた。心地よい暗闇に覆われていった。体中が心地よい暖かさに包まれていった。体が信じられないくらいに軽くなっていくのを感じた。心地よい暗闇の中で体が浮いていくのを感じた。心地よい暗闇の中で眩しい紫色の光の線が横切っていった。