輝く樹木

第１章　第４２話

「以前の同僚とまた話す機会があったんだけど、不登校の生徒で悩んでいるみたいだわ」
「去年文科省が公表した調査結果だと、全国の小中合わせての不登校の数が、１３万３６８３人にもなる話だ。前年度に比べて６．１％増で４年連続増加している。保護者も学校関係者も大変だろうね」
「彼女は不登校のことでは本当に悩んでいるようだったわ。きっと悩みを話す相手がほしかったんでしょうね。私が元教員で今は現場から離れているから、たぶん話しやすいんでしょうね。なかなか切ろうとしないの、結構長い時間話していたわ」
「今度食事でもしながらゆっくり悩みを聞いてあげたら」
「そうね、輝夫の件が一通り落ち着いたら、時間をつくって一緒にランチに行こうかなあと思って」
「中学だけみると１０万３２３５人で全生徒の４・１％が不登校だと言うから大変だね。でもこれって文科省が調査したのは年間３０日以上欠席している生徒を不登校として計算しているから、２９日とか２８日とかいった生徒は入れていないでしょう。そうすると実質もっと多いんだろうな」
「わたしは今の教育現場で働いていく自信はないわ。不登校問題、いじめ問題、モンスターペアレント、教員に対する管理体制の強化、部活動指導、生徒指導、長時間問題。これでは教員希望者がますます減っていくでしょうね。せめて教員免許制の法律だけでもなくしてくれないと」
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