輝く樹木

第1章 第46話

「最近フリースクールが増えてきたみたいだわね。ネット検索したらこの近辺にもいくつかあるみたいだわ」
「そう、輝夫の学籍を移した中学と同じ市にも一つあるね。校長はフリースクールでの教育活動を、僕たちがやっているものと同じように認めているみたいだよ。昨日中学に行って校長に学習計画書を渡した時、教えてくれたんだ。僕が初めて校長とあった時、校長はフリースクールのことを言おうかどうか迷って、最初は距離的に大変だろうと思って、言わなかったらしいよ。引っ越して今の生活に慣れることが先だから、落ち着いたら考えてと言われた」
「そう、心配なのは今の生活は同世代間の人間関係を提供できないことね。しばらく様子をみてそのうち輝夫と話してみてもいいかも知れないわね」
「そうだよな、本当のところ輝夫がどう思っているかが重要だからね」
「機会があったら今度そのフリースクールを見学してみない?買い物に行ったついででも」
「そうだね。自分たちが見ても良さそうなところだったら、輝夫を連れて一緒に見学してもいいだろうしね。でもこれはあくまで輝夫が望んでのことが前提だけれどね」
「フリースクールが増えてきているということが、少しずつ子どもたちにとって環境が良い方向にむかっているということならいいんですけど」
「僕もそう思うよ。今の状況というのは子どもたちにとってあまりにも過酷すぎるところがあるからね」
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