輝く樹木
第1章 第47話
空全体が厚い雲に覆われて、月も星も全く見えない夜空をそのまま映したかのように、前庭は全くの暗闇に覆われていた。輝夫は意図的に部屋の明かりを全て消してしまった。しばらく暗闇に覆われた前庭を見つめていると、右側の木の幹のあたりに純白の光の点が現れてきたのが分かった。その微かな純白の光によって三本の木の薄っすらとした姿が暗闇の中から浮き出てきた。純白の点の光は輝きを増しながら少しずつ大きくなっていった。純白の点の光が幹全体を埋め尽くすような円になって眩しく輝き始めた時、他の二本の木はその純白の光を浴びて、幹は焦げ茶色の光を、葉は濃い緑色の光を反射させた。純白の光が窓から流れ込んできて、壁、床、天井を純白に染めた。部屋にあるすべてのものを純白に染めた。純白の光が瞼に触れると心地よい重さを感じた。心地よい暗闇に囲まれているのを感じた。体が心地よい暖かさに囲まれているのを感じた。体が信じられないくらい軽くなっていくのを感じた。心地よい暗闇の中で体が少しずつ浮いていくのを感じた。心地よい暗闇の中を純白の線が時々横切っていった。