輝く樹木

第3章 第9話

 輝夫は自分の荷物をすべてバッグとリュックサックに詰め込んだ。二週間の滞在だったので荷物といってもこんなものかと輝夫は思った。でも引越し業者を頼んで自分の荷物をここに運んでもらった感覚が体全体に残っている。実際引越し業者を頼んだ事実はまったくないのに、この感覚はなんであろうかと思った。しかし昨日まではその感覚がもっとリアルで体全体がそのリアルな感覚で押しつぶされそうな感じであった。しかし、この家に来てから毎夜目にした三本の木が発する光を、昨夜は全く見なかった。それからというものその感覚からリアルさはなくなってしまった。
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