あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~

「女の子は、釣り針を垂らされていたけれど……家族に守られていた。釣り針には引っかからなかったんだ」

「もしも……気付かなくて、暗い方に一人で行ってたら……」

「それは、怖い事になっていただろうね」

 麻那人の言葉が恐ろしい。
 
「どうして、そんな事するの?」

 恐怖で震えるルルはまだ、犯人が『人間』と思っているのかもしれない。

「人間の子供の恐怖は、力になるんだよ」

「「え?」」
 
「子どもの恐怖や絶望感を、喰ってるやつがいるんだ」

「えぇ」

 さすがの光も驚いた。

「じゃあ……犯人は……」

 ルルが麻那人に聞いた。

「十中八九、悪魔だね」

 そう、追いかけ鬼を創っているのは人間じゃない。

 悪魔だと……。

 駄菓子屋でいつも麻那人が支払う子供のワクワク、楽しさの気持ち。
 それと同じように、子供の恐怖心を餌にしている悪魔がいる……。

「僕はそんな悪魔は嫌いだな」

「うん、私もそう思う」

 光だって許せない。

「子供を泣かせて喜ぶなんて……最低だよね」

 いつも優しく微笑む麻那人の瞳に怒りが見えた。
 
「うん……じゃあどうするの?」

「釣り針を、こっちから引っ張ってやろう」

 麻那人の目が、悪魔王子の目がギラッと光り輝いた。
 
 
 
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