あいつは悪魔王子!~悪魔王子を召喚しちゃった!?魔術クラブ結成!都市伝説『追いかけ鬼』をやっつけろ!~

脱獄悪魔ザボ



「一体なんの話を聞いてきたの?」

「あーおいしっ。アイスおいしっペロペロ。チョコおいしっおいしーわっ」

 ファルゴンはアイスに夢中だ。
 
「ファルゴン」

「あぁ! 申し訳ございませんっ……! えっとですな。脱獄悪魔が一匹おりました」

「だつごくあくま……?」

 なんだか怖いな、と光は思う。

「悪魔の世界にも法律はあるの?」

「そうだね。偉大な祖父の代から、他の世界への目に余る残虐な行為は、控えるように取り締まったんだ」

「へえ~他の世界って人間界とか?」

「そうだよ。まぁ悪魔同士ならいいって事はないけど、悪魔の性質っていうものがあるからね。悪魔界の中ではある程度許されている。でも無抵抗な人間界の子どもや、妖精を好き勝手に狩るのは重罪さ」

 光は唾を飲む。
 麻那人のおじいちゃんがそうやって取り締まらなかったら、どうなっていたんだろう。

「それで、脱獄悪魔って……」

 麻那人の問いにファルゴンは話を続ける。
 
「人間の子どもを複数人襲った、禁固刑一兆年の悪魔『ザボ』が脱獄したという話です」

「禁固刑一兆年!?」

「百二十年前の修道院の事件だな……」

「さようでございます。ザボは百二十年、弱小牢に繋がれていたため当時の力は無いと思われます」

「じゃくしょうろうって何?」

「魔力吸引鎖牢というもので、悪魔を弱小にするからそういう呼び名が付いているよ。ザボは元々は素のままで人間に干渉できる強い悪魔だ。実体をもって人を襲うことができる。でも今はザコ悪魔になっているという事だ」

「よかった……!」

 光はホッとした顔をするが、麻那人の表情はかたい。
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